車選び:メーカーのこだわり~マツダ①「はじめに」
このブログを始めたときから書いてみたかったテーマです。
ふだん、皆さんは車のことを調べるときは、メーカーの商品サイトにアクセスされることでしょう。そこでこのサイトでは、滅多に訪れない車メーカーのコーポレートサイトといわれるところにある情報を中心に、各社の車づくりの思想やこだわりについて研究していきたいと思います。
最初に取り上げるメーカーはマツダです。
V字回復というとカルロス・ゴーンの日産、というイメージかと思いますが、私としては当時のマツダを知るだけに、よくこれだけのブランドチェンジができたな、と、とても感心しているメーカーであり、私の地方では全国シェアに比べて、CXシリーズの車をわりとよく目にする、というのがマツダを最初に取り上げる理由からです。
マツダは一時期、倒産寸前の状況までいって米国フォードの傘下に入りました。そして当時、5チャンネルあった販売系列の一つでは、フォードの車も扱っていました。
ロードスターも昔は「ユーノス・ロードスター」と言われていました。5系列の販売網を維持することもあったからでしょう、車種もフルラインナップに近く、どの店でどの車を売っているのか調べないとわかりませんでした。
2008年のリーマンショックが追い打ちをかけ、しばらく赤字に苦しみました。しかし20その後、政府ではありませんが、経営の考え方が「骨太の方針」に変わり、これまでのマツダから脱却、skyactiveエンジンの開発や初代CX-5の発売、地道なファンとの交流活動などがあいまって、2013年以降に業績が回復していったのです。
では早速・・・
ビジョンに込められた想い
車を買うときに、その企業のビジョンなど見たりしませんよね。しかし、これには車づくりの根幹が垣間見れます。
CORPORATE VISION
私たちはクルマをこよなく愛しています。
人々と共に、クルマを通じて豊かな人生を過ごしていきたい。
未来においても地球や社会とクルマが共存している姿を思い描き、
どんな困難にも独創的な発想で挑戦し続けています。
1. カーライフを通じて人生の輝きを人々に提供します。
2. 地球や社会と永続的に共存するクルマをより多くの人々に提供します。
3. 挑戦することを真剣に楽しみ、独創的な“道(どう)”を極め続けます。
この私たちはクルマをこよなく愛していますというメッセージから始まるビジョンは、リーマン後の2009年、目指すべき理想の姿をめぐって15人ほどの本部長クラスが週2回、終業後の2時間くらいの時間を使って議論し、導き出したメッセージだといいます。議論はのべ200時間近くにのぼったといいます。その結果がこの2015年に改訂されたビジョンということです。
マツダがV字回復を遂げることができたのは、このビジョンのもと、ぶれずに企業の在り方を追求していったからだと思います。
赤字にあえいでいたころのマツダの車は、値引きも大きく、その分、中古車市場でも人気がなかったために(車の出来とは関係なく)、査定が低かったとされます。一度、マツダの車に乗ると、他社メーカーに乗り換えようと思っても、下取りが低く、結局また、マツダの車を買うことになる、というマツダ地獄に陥る、と揶揄されたりもしました。
それが今はそうしたイメージを払拭できたのは地道な体質改善を図り、今のようなラインナップに整理し、それが評価されたからこそでしょう。
マツダを語るキーワード(1)「魂動デザイン」
一目みて、マツダの車だとわかるデザインになっています。特にどの車もフロントグリルは共通性がありますよね。
デザイン全体をマツダは、「魂動デザイン」といっています。
なんとなく聞いたことはあっても、その定義は曖昧ですよね。
コーポレートサイトには以下のように記されています。
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クルマに命を与えるマツダのデザイン
生命感を形にするクルマは、単なる鉄の塊ではありません。それは「命あるもの」だとマツダは考えます。
ドライバーとクルマの関係を、まるで愛馬と心を通わせるかのように、エモーショナルなものにする。
そのための造形を追い求めつづけるのが、マツダの「魂動デザイン」です。
マツダの次世代デザインはこの「魂動デザイン」をさらに深化させ日本の美意識を礎とした「新たなエレガンス」の表現を追求していきます。
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この「魂動デザイン」は、2010年に「「動き」の表現を追求し見る人の魂を揺さぶる」デザインとして発表されました。またこの年はクルマづくりのすべてのプロセスを刷新し、世界一を目指して「エンジン」「トランスミッション」「ボディ」「シャシー」などのベース技術をゼロから見直し飛躍的に向上させた「SKYACTIV技術」を発表した年でもありました。
次回はこの「魂動デザイン」についてみていきます。(続く)