50代からの車選びとライフスタイル研究所

このサイトでは50代以上の方を対象とし、車選びとライフスタイルについて参考になりそうな情報をお伝えしていきます。運転歴35年以上で軽自動車からワンボックスまで9台を乗り継いできました。50代、60代ともなりますと車の選び方や働き方、日々の生活も変わってきます。人生100年時代ともいわれる成熟の世代を楽しく生きるためのクルマ情報やライフスタイル情報、私の考えや思いをエッセイ的にまとめていきたいと思います。

車選び:メーカーのこだわり~スバル②「0次安全」

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スバル研究の第2回です。
スバルはもともと航空機メーカーでした。
そうした起源もあり、サイトから読み取れるのは、徹底した安全への追求です。当然、どの車メーカーも安全は担保したうえで、デザインだとか、機能だとかの話になります。

スバルの場合は第3回で取り上げる予定の「アイサイト」もそうですが、車そのものについては、「安全性の追求」という、太い1本の芯棒が貫かれているように感じます。オフィシャルサイトでもいろいろなコンテンツがあるのですが、「安全」に紐づく割合が、おそらく他メーカーのサイトよりも高いかと思います。しかも、この「安全」は乗員のみならず、歩行者など、事故があったときに被害者の立場になる方々にも向けれられています。

スバルは本気で2030年に乗車中、ならびにスバル車と歩行者・自転車等との衝突事故による死亡事故をゼロにすることを目指しています。
「●●年までに全車、電動化」というのは、よく聞きますが、死亡事故ゼロにする期限を明示しているのは、スバルだけだと思います。
この心意気は、もっと評価されてもよいかと考えます。

1990年から取り組み強化

いつごろからこうした姿勢になったのかというと、設立当初からお客の安全を考えて車の開発を行ってきたといいます。そして1990年ごろ、といいますから今から30年以上前からですが、開発部門では「衝突安全世界一」をスローガンに掲げ、取り組みを強化してきたといいます。

1990年といえば、平成に元号が変わって間もないころ、ということになります。安全に対して対価を払う、という意識は浸透していませんでした。それでもユーザーから「『酷い交通事故に遭ったがSUBARUに乗っていて助かった』との感謝のお手紙を頂くことがあり、私たちはこれを励みに性能向上に取り組んできました」といいます。

0次安全

この言葉がスバルを体現するものだと私は思います。
0次安全とは、「クルマのカタチやインターフェースといった基本部分のデザイン、設計を工夫して、疲れにくく、運転に集中できるクルマづくりをしようというこの取り組み」のことで、同社はこの0次安全を重視しているのです。

発想は「そもそも事故を起こしにくいクルマ」であり、それは「死角を減らす独自の視界設計など、見やすく、使いやすく、疲れにくいドライビング空間を追求」にあるといいます。ドライバーにとっての操作感、ドライバー以外の乗員の乗員の乗降のしやすさ、快適性などを人間工学に基づき検証しています。
こう書いてしまいますと、ほかのメーカーとさして差がないように思われるかもしれませんが、スバルがこの中で圧倒的にこだわっているのが、「運転視界」です。

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クルマを設計するとき、私たちが常に大切にしているのが“運転視界を良くすること”です。これは、SUBARUの前身である中島飛行機時代から、連綿と続いてきた言わばSUBARUのDNAとも言えるテーマです。中島飛行機時代に求められていたのはパイロットが前方、上方、側方、そして後方まで360°を見渡すことができる視界性能でした。平面の上に落ちた水滴のように全方位が透明なキャノピーが理想です。周囲を良く見渡すことができれば、状況をいち早く察知して対処できますから、航空機においては重要な性能のひとつでした。戦後、クルマを造るようになってからもこの思想は変わることなく、初めて量産したスバル360を始めとして、SUBARUのクルマは常に視界の良さを重視して開発されてきたのです。
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(以上、スバル公式サイトからの引用)

視界にはバックミラー等を使うもの、カメラやレーダーを用いた安全運転支援機能、さらに ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通 システム=見えない位置にある車同士などをセンサー等で検知できるようにしようというもの)がありますが、スバルが最重視するのは、ドライバー自身による「直接視界」です。

バックビューモニターが備わっていても、最初は肉眼で確認して後退を始める、つまり「どれだけ電子デバイスが発達しても、人には元来、直接視覚に入って来る情報を信頼するという習性がある」というのが同社の主張です。

これについては100%、私としては同意できます。
と申しますのも、確かにバックビューモニターがついていても、窓を下げて駐車位置や左右の車の止め方、大きさ、車止めの有無などを確認してからでないと、怖くてバックができません。もちろん、バックビューモニターは真後ろの確認や、後ろの車両や障害物までの距離を確認するのには役立ちますが、モニターだけをみてバックすることはできません。
私も視覚からの情報をまず信頼する一人です。

視界の確保

スバルの車は、1mの背の高さの子供が確認できるように視界が確保されているといいます。また、ドアミラーの位置や、リヤワイパーの未使用時の停止位置にもこだわって、視界確保に努めているのです。

そしてドライバーからみたときに、車のピラーが極力、視界を遮らないようにする、というものです。
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開発のごく初期段階でドライバーの位置、ドライバーの目の位置を決め、そこから全周に360度の放射状の同心円を描き、クルマのピラーと重なる部分の死角を正確にチェックするのです。その上で、この死角を最も小さくするようなピラーの断面形状を考えます。写真(A)はドライバーの視点から見たリヤクォーターピラーです。同じピラーでも視点を変えて見るとこれだけの太さがあるのです(写真B)。
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4つの安全

スバルが唱える安全は4つ、あります。
①0次安全
②走行安全
③予防安全
④衝突安全
――です。

②はSUBARU独自の水平対向エンジンやシンメトリカルAWDによる、危険時に安全に回避できる走行性能の追求により安全をもたらすというもの、③はアイサイト、④は衝突したときの安全確保ですが、ここには歩行者保護も視野に入っているところがスバルらしいところです。

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スバルは商品サイトもコーポレートサイトも、「安全」についての記載が多いことが特徴です。走りの楽しさ、走行性能などにも触れられていますが、マツダの「人馬一体」などとは異なる印象です。
もちろんマツダにしてもオルガン式ペダルなど、操作性を高めることで疲労感を軽減し、安全につなげるということなので同じ部分もあるのですが、おそらく「安全」という言葉の出現率は車メーカーサイトの中でトップかと思います。


次回は、いよいよ「アイサイト」について探っていきます。

本日も最後までお読みくださり、ありがとうございました。