50代からの車選びとライフスタイル研究所

このサイトでは50代以上の方を対象とし、車選びとライフスタイルについて参考になりそうな情報をお伝えしていきます。運転歴35年以上で軽自動車からワンボックスまで9台を乗り継いできました。50代、60代ともなりますと車の選び方や働き方、日々の生活も変わってきます。人生100年時代ともいわれる成熟の世代を楽しく生きるためのクルマ情報やライフスタイル情報、私の考えや思いをエッセイ的にまとめていきたいと思います。

新車購入読本2023 シニア世代の車選び~シートに注目②

(上の写真はイメージです)

 

昨日の続きです。

ホンダのスタビライジングシートについて書きました。一

一つだけ補足があります。このシートは骨盤を安定させることによって疲れやすさを軽減する仕組みなので、シートには奥深く腰掛ける必要があります。背もたれと背中を密着させ、尾てい骨付近を、座面と背もたれの接続部分にくっつけるような感じです。

浅く腰掛けてしまうと、このシートの良さを享受できないのでご注意ください。

 

ホンダはこのようなシートを開発していますが、他社はどうなっているのだろう、と思い調べました。以下に掲げる以外でもし、私の見逃しがありましたら、ご容赦ください。

 

スバルのフォレスターのシート

同社のシートについての考え方は以下のとおりです。

「運転というある程度の緊張感が伴う作業をするとき、そのシートに座ることで安心感が得られること。それがクルマのシートに求められる重要な役割だと私たちは考えています。そんなシートを造るためにSUBARUでは“ドライバーの姿勢安定性”と“衝突時の安全性”を最も重要視した開発を行なっています」。

 

スバルのシート設計は、車の開発段階から行うといいます。

SUBARUでは、クルマのコンセプトを決める開発初期段階で、人が座る位置、姿勢を決め、それに合わせて最適なシートを設計しています。」

つまりBRZのような車高が低く、寝そべるような姿勢で運転する車と、フォレスターのように背もたれが立ち気味で、荒れた路面やワイルドな状況でもしっかり体を固定する必要がある車種では、自ずと設計が異なるといいます。

 

外見的な特徴は、背もたれ部分が他社メーカーのシートより多く分割されていることです。これは「人の身体と直に接するシートセンター部分は、表皮の張り分けを従来よりも細かく分割し、立体的で品質の高いものとし、シートヒーターの設置範囲も上部の肩のあたりにまで拡大して冬期の保温性能を強化」するためのものです。

さらに詳しくは上記のリンクをご参照ください。

 

マツダは「人馬一体」となるシート

マツダは「クルマを所有し、どこまでも一緒に走り、過ごすことで得られ『心の満足』こそが、マツダの目指す「走る歓び」だといいます。同社は「その実現にむけて、車両開発領域においては、ドライバーの意思とクルマの動きが一体となって安全・安心に、意のままに走る『人馬一体』を一貫して追求。そのあるべき姿を追い求め、マツダは『人間中心』の哲学によるクルマづくりに、こだわってきました」。

 

マツダは次世代車両構造技術「SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE(スカイアクティブ ビークル アーキテクチャー)」を開発し、これを2019年以降発売される次世代商品に採用してきました。

この技術の目指すところは、「歩くように何気なく、意識せずクルマの動きを自然と感じられている状態」。これにより、同社がこだわる究極の「人馬一体」による「走る歓び」を実現することができるといいます。

 

シート開発もこのこだわりの延長線にあります。

  • 脊柱がS字カーブを保つように骨盤を立ててシートに着座できること
  • 人間の足の代わりに、クルマが路面の力を滑らかに骨盤に伝え、骨盤を連続的に滑らかに動かすこと

上記の2点を実現することで、クルマ乗車時でも歩行時と同様に、「人間が本来持っている『バランス保持能力』を発揮できる『理想の状態』」になるというのです。

後者はシャシーやボディ構造によるものですが、前者の考え方を取り入れたシート開発を行っています。

私は語れるほどの時間、マツダの車に乗ったことはありませんが、シート開発の考え方は前述のスバルに近いように感じます。

 

詳しくは以下のホームページを参照ください。

 

日産の「ゼログラビティシート」

ゼログラビティとは無重力状態のことです。

「人間が無重力状態で脱力した姿勢が、身体への負担が最も少なく、長時間でも姿勢が崩れにくく、疲れにくい」ことがNASAの計測でわかったといいます。この姿勢を「中立姿勢」というそうで、この中立姿勢をクルマのシートに転用することで、「筋肉や背骨への負荷を少なくし、血行も改善。長時間の着座による疲労感を軽減」でき、この考え方でシート開発が行われました。

具体的には、シートバックを腰から背中にかけて連続支持する中折れ形状にすることで中立姿勢を実現しました。同社の実験では従来シートに比べて疲労感が30%低減したといいます。

 

このシートはスカイラインや2020年まで販売されていたティアナなど上級セダンに採用されていましたが、軽自動車のディズにも採用されました。不思議なことに日産の車種別ページでは触れられていませんが、ネット上の車関連記事にその記載があります。

軽自動車にも採用している点は好感がもてます。このゼログラビティシートも、背もたれ重視の点でスバル、マツダ派です。

 

トヨタはどうなの?

トヨタは、というよりトヨタ紡績など関連3社は将来に自動運転を意識したシート開発を行うという記事が2018年時点であるものの、特段の現行車におけるシートへのこだわりなどを解説したページは見当たりませんでした。

 

 

前回と今回の記事で各社の運転席シートへのこだわりなどについてみてきました。

シートは表皮の材料やシートの厚み、座面の長さ、背中の左右の張り出しなど見た目でわかる部分もありますが、それらが一見、豪華そうであっても、座って運転してみると疲れやすかったり、腰が痛くなったりします。

その点で見極めはなかなかやっかいなのですが、試乗時でも乗り込んでエンジンを始動させる前に、座り心地を確認する時間をとることをお勧めします。この時点でまずは「しっくりくる」ことが大切で、そうでない場合は、長時間走行すればどこか違和感を感じるかと思います。

 

またせっかくの各社の技術の粋が集まったシートだったとしても、正しい着座位置をとらなければ意味をなしません。特に前後の位置、背もたれの角度は腰椎や骨盤の位置に影響するからです。ヘッドレストも部分的に影響します。

この点でシート一体型よりも、ヘッドレストは分離型になっているシートをお勧めいたします。