読書覚書①~『できる人はダラダラ上手』
本ブログは車関連情報、特に運転や車社会についての記事が多いのですが、もともとは
「人生100年時代ともいわれる成熟の世代を楽しく生きるための車情報や、ライフスタイル情報をさまざまな手段で収集し、まとめていきたいと思います」ということで始めました。
50代まではよく本を読んでいました。60代の声をきく頃から、紙媒体以外のネット媒体(ブログや動画)の種類も増え、発信者が増えたことにより、玉石混合からだいぶ淘汰が進み、ネットの記事といえどもだいぶレベルが上がってきた、つまり信頼に足りる情報が多くなってきました。
一方、いまだ裸眼で頑張っているとはいえ、小さい文字、特にビジネス誌などA4変形判型の雑誌は見えづらくなり、次第に敬遠するようになったと思います。
単行本については、新刊ですぐに読みたいものは紙の書籍として年に数冊、購入しますが、あとはブックオフで見かけたかつてのベストセラーや、クーポンで割引になった電子書籍を買うことが多くなりました。
実績で振り返ると、やはり電子書籍はなかなかページが進まず、私はいまだ紙の書籍のほうが早く読めるようです。また、車の価格ではありませんが、文庫本は昔、200円台や高くても500円以内で買えたのが、今や文庫本だって1000円近くする時代です。
今は働いているからいいですが、年金生活になったことを考えるとそんな贅沢もできず、中古本で十分、それもブックオフで100円か200円に下がった本を見つけて買っています。
かつてのベストセラーは、中古車的にいえば台数が多く、価格も下がりやすいというメリットがあります。
武田鉄矢氏の読書ノートがきっかけ
「金八先生」で一世を風靡した武田鉄也氏が読書ノートをつけていることを知ったのは今から十年以上前のことかと思います。
これまで私の本の読み方は、線を引いたり、キーワードを書き込んだり、本を「汚す」読み方をしていました。30代くらいからそうしていたと思います。そうすることによって、本のエッセンスが少しでも自分に取り込まれ、自己啓発しているような気になっていたのです。
しかし・・・。
悲しいかな、新しい本を読めば読むほど、その前に読んだ本の記憶は道路の白線が次第に薄くなっているのに似て、いやもっと早い速度で、忘却の彼方に飛んでいってしまいました。
そこで私も読書ノートをつけようと思い立ち、行動に移しました。とはいえ、気まぐれですから、仕事の忙しさに合わせてつけたり、つけなかったり・・・。
最初はアナログ的にノートに書いていたのですが、数年前にデジタル化しました。
やはりその時も「デジタル化したから、これでいつでも振り返れる」と安心し、デジタル化は「手段」であったはずが、「目的」となり、これで安心してしまいました。
そして・・・。
零細ブログとはいえ、本ブログを読んでくださる奇特な方々がいらっしゃるのであれば、私の読書遍歴もご披露しながら、私自身も、もう一度、過去に読んで自分なりに整理して「これからの人生に役立てよう」と思ったエッセンスを、本ブログを通じて共有させていただければと思った次第です。
前口上が長くなりましたが、早速、1冊目を紹介したいと思います。
『できる人はダラダラ上手』
1冊目のタイトルとしては、なんとも脱力系なのですがご容赦ください。
この本の著者はアンドリュー・スマートで、日本では著作はこの本くらいのようです。
「スウェーデン出身の神経科学研究者。ルンド大学で脳神経科学を学び、ADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもの記憶に関する研究に携わったほか、米ニューヨーク大学研究員として言語処理における脳の画像イメージングの分析に携わる」とプロフィールにあります。
紹介文には「本書は、何もせずに無為に過ごすことの効用と、効率重視の生き方、働きからの不健康さを、脳のオートパイロット機能(デフォルトモードネットワーク)という最新の脳神経科学研究や複雑系、心理学、哲学など、幅広い観点からとらえた北欧の研究者によるユニークな一冊です。」とあります。
今の私の仕事もそうなのですが、アイデアを考えなくてはならないことは多々あります。多くの方も経験されていると思いますが、仕事場のデスクで必死に頭をひねっていてもアイデアが浮かぶことはあまりなく、それ以外の場面でふと、思いつくことのほうが多いと思います。
ダラダラしていてアイデアが湧く・・・最高ではありませんか!
中国の北宋時代(960年~1127年、日本では紫式部の源氏物語が完成したり、源氏の勢いが増してきた時代)の学者・欧陽脩は、主に文章についてですが、考えるに適した場所は三上、つまり「馬上(ばじょう)」「枕上(ちんじょう)」「厠上(しじょう)」と唱えました。馬の上で揺られているとき、枕のうえ、トイレの中、ということです。
奇遇ですが(笑)、西欧でも似たような考え方があります。
bed、 bath、 bus の3つです。
本当かなと思って英語サイトを調べてみたら、
How did Bed, Bath, and Bus become the "3 B's" of creativity?
という質問が質問箱みたいなサイトに投げかけられており、それに対し
3 B’s of creativity - Bed, Bath and Bus are not true in most of the cases but still I find atleast bed and bath to be the most defining moments in your creativity clock.
Bed - Sleeping at night or napping is a great way to let your unconscious mind run with an idea.
Bath - As a fan of baths, I fully endorse spending as much time as possible here.
Bus - Switching locations can also do the trick. I’m sure that I’m not alone when I say that some of my best thinking occurs during vacations. ※do the trick=(口語)うまくいく
という回答が寄せられていました。この回答者の方はBusについては多少、異論があり、休暇中こそアイデアがわくのだと言っていますが・・・。
前おきが長くなりすぎましたが、この本のポイントは私なりにまとめますと、
・脳を休めるとオートパイロット機能が働き始める。自分が本当は何をやりたいか、どこへ行きたいか教えてくれる。何を教えてくれるか操縦をとめ、オートパイロットに従おう
・いつも忙しくしていることは脳にとって害毒、長期的には健康に深刻な悪影響、短期的には創造性、自己認識、感情の安定、社会性などを損ない心臓血管の健康を低下させる
・何もしていないときだけに起こる脳活動がある
・脳は天気と同じ、非線形のシステム
・脳のような非線形システムにノイズを入れると交響曲や小説がうまれる
・休むことは脳の健康にとって必要
・デカルトはゴロゴロしているときに天井のハエをみてX軸とY軸からなる座標を思いついた
・脳は常に維持、解釈、反応、予測といった自発的な活動をしている
・脳の重量は体重の2%だが、消費エネルギーは全体の20%
・夜ぐっすり眠る、昼寝によって海馬が新しい記憶を新皮質に書き込み、これが記憶の固定といわれる
・リラックスしているときに出現するデフォルトモードネットワークは自己認識、自伝的記憶、社会的情動の処理、創造力に関与している。
・すぐれた絵をみたり好きな音楽を聴いたりいたずら書きするだけでデフォルトモードネットワークのバランスが保たれる
・ 休憩が必要なのは生産性向上のため
・デフォルトモードネットワーク活性化すると社会とのつながり、より大きな世界における自分自身の位置づけ、未来についての夢想、感情などに関連する情報がデフォルトモードネットワークによって処理できるようになる
因みにこちらの清涼タブレット「フリスク」のCMも参考になります
チコちゃんには叱られますが、ときに「ボー」と生きていくことも必要なのです。