50代からの車選びとライフスタイル研究所

このサイトでは50代以上の方を対象とし、車選びとライフスタイルについて参考になりそうな情報をお伝えしていきます。運転歴35年以上で軽自動車からワンボックスまで9台を乗り継いできました。50代、60代ともなりますと車の選び方や働き方、日々の生活も変わってきます。人生100年時代ともいわれる成熟の世代を楽しく生きるためのクルマ情報やライフスタイル情報、私の考えや思いをエッセイ的にまとめていきたいと思います。

車選び:メーカーのこだわり~スバル⑤EV化、独自技術について

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電動化、HV化へ3つのアプローチ

スバルは電動化、HVについてはどのようなロードマップを描いているのでしょうか。
バッテリー駆動のEVは2020年代前半、CセグメントSUVを投入するところから始まる予定です。2019年6月にトヨタと共同開発で合意したことに基づき、EV専用プラットフォームも含めて共同開発する予定です。

現在は「e-BOXER」=マイルドハイブリッドしかありませんが、トヨタのハイブリッドシステムと 「シンメトリカルAWD」「水平対向エンジン」「スバルグローバルプラットフォーム」の3つのコア技術を融合させたストロングハイブリッドも2020年代のうちに市場投入する予定です。
ご存じのとおり、水平対向エンジンはスペースを多くとります。そこにストロングハイブリッドとなると、それなりのモーターを積むわけですから、どこで折り合いをつけていくのかが見ものです。

全体の計画としては、2030年代前半には生産・販売するすべてのスバル車に電動技術を搭載する計画です。これは前述の2つの方式ではなく、現在の新設計1.8L リーンターボエンジンなどに、電動技術を組み合わせていくもの、という説明がスバルのサイトでは説明されいます。e-BOXERよりさらに控えめな電動技術のような印象を受けます。

「e-BOXER」

現状の「e-BOXER」について少し触れておくと、水平対向エンジンを筆頭に、手のひらに載るくらいのコンパクトサイズ、かつ高性能なモーターとリチウムイオンバッテリーを、左右対称・一直線上に配置した、パワーユニットです。

このe-BOXERに採用されたモーターは、コンパクトながらおおよそ軽自動車1台分のトルクを発揮するといいます。

WLTCモードからもわかるように、e-BOXERは燃費追求のマイルドハイブリッドというより、「コンパクトなモーターの性能を使い切って、SUBARUらしい愉しさをどうしたら実現できるのかを模索する中で生まれたもの」(第二技術本部電動ユニット研究実験部の小室氏)です。プロジェクトチームはインテリジェントモードとスポーツモードの2つを切り替えることによって、モーターの特徴を最大限に活かしたといいます。
『運転のしやすさ』と『燃費の良さ』のバランス重視のインテリジェントモードの時は、約40km/h以下の街中で多用する速度域で、積極的にエンジンを停止し、EV走行するよう制御、より『愉しさ』を提供するスポーツモードのときは、幹線道路への合流や郊外のワインディングでコーナーを抜ける際に活用できる味付けになっています。

ハイブリッドとなれば、回生ブレーキとなるため、ガソリン車とブレーキフィールが異なってきます。しかしスバルでは、ブレーキフィーリングをガソリン車と変わらない自然なものにするというのも、e-BOXER開発の大きな課題だったといいます。
回生ブレーキを効かせれば、充電量が増え燃費向上に役立ちますが、自然なブレーキフィーリングとはなりません。スバルではあくまで自然なブレーキフィールとしたうえで、充電量を増やすためのバランスをとりました。
優先度は「愉しさ」ということですね。

サイトを見ると、スバルではバッテリーについて、「寿命を気にされるお客様も多いと思いますが、10年後を想定したシミュレーションを行い、新品時と遜色なく作動するポテンシャルがあることを確認しています」と言い切ってくれています。

スバルの独自技術とは

すでにみてきた「アイサイトX」以外でも、「スバルといえば」という独自技術があります。

1.  ボクサーエンジン
その名のとおり、二人のボクサーが足を止めて正面で左右のパンチを互いに繰り出し、打ち合うようなイメージです。ピストンが左右に水平に配置されたエンジンで、これにより互いの振動を打ち消す効果があり、車内に伝わる振動を抑えることができます。また通常のエンジンはピストンが直列やV字に配列されているので、当然ながら上下方向の厚みはでるわけですが、ボクサーは左右に幅をとるものの、上下の厚みは薄くて(エンジン全高は低くて)済みます。
また後述の「シンメトリカル」(左右対称)の観点からもボクサーエンジンは適しているわけです。

2.  スバルグローバルプラットフォーム(SGP)

SGPは現在のスバル車を語るうえで、アイサイトと同じくらいのコアテクノロジーなのだと思います。スバルのホームページでも記述が多く、また動画も多数用意されています。
ここでは開発者へのインタビューの中から、ポイントを整理してみました(スバルHPから抜粋して引用)。

・SGPはSUBARUがずっと言い続けてきた“安心と愉しさ”をさらに一気に伸ばすための手段
・「愉しく走れるクルマ」を全面に押し出さず、順番としてはまず基本となる性能を作り込んでから初めて自分がやりたいことをやる。だから決して乗り心地が悪くないし、ピーキーでもない。穏やかで乗り心地が良いというのは絶対的な目標性能
・“速さ”とか“愉しさ”も大事ですが 運転していて“楽”ということも大切です。SGP開発時には“いかに楽に走るか”という点について考えていました
・SGPを最初に導入した5代目インプレッサや2代目SUBARU XVのステアリングギヤ比はスポーツカーと同レベルの13:1だ。さらに、剛性を上げるためにレーシングカーのような補剛をしている
・その狙いは、決してスポーツカーを作りたかったわけではなく、取り回しを良くすることで運転が楽になるようなクルマにしたかった

そしてこのSGPでスバルが挑戦したのがオブリーク衝突です。

オブリーク衝突

オブリーク衝突とは、“斜め前方15度の角度からの衝突”です。対向車との衝突を回避しようとして衝突してしまうような状況を想定しているといいます。これはレヴォーグが先日、受賞したファイブスター大賞を受賞した自動車アセスメント(JNCAP)においては評価対象になっていません。


それでもスバルは実際に起き得る事故形態を重視して、「常に高い安全性能を追求している」といいます。実際にスバルでは世界で起きたスバル車の事故事例を収集し、安全性向上に役立てています。

ほかのメーカーが同様のことをやっているのかはわかりません。「死亡事故ゼロ」のところでも触れましたが、こうした生真面目な取り組みを地道に行っている姿勢は好感がもてます。

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これまでさまざまなスバルの技術をみてきました。
私としては、
* 0次安全を重視、スタイルよりも視界確保の姿勢
* シンメトリカルAWDもSGPもアイサイトも、すべては「安全安心のため」
* 愚直に”死亡事故ゼロ”を目指す企業姿勢(宣言するのは容易ではないはず)
* ドライバーだけではなく、後席を含め乗員全員の快適性の追求
といった点が素晴らしいと感じました。

本日も最後までマニアックな記事にお付き合いくださり、ありがとうございました。

次回はスバルのデザイン、サイト全体等について書いていきます。