危険回避のドライブ術⑪~軽視できないドラポジと視界確保
今日はシートポジションと視界の確保についてお話しします。
危険を回避するためには最適なドライビングポジションを取る必要があります。
まずシートとハンドルの位置関係です。
ハンドルにはハンドルの上下方向を調整することができるチルトステアリングと、ハンドルの前後を調整するテレスコピックステアリングという2つの装備があります。
チルトステアリングは多くの車で標準装備されているかと思いますが、テレスコピックステアリングのほうは価格の高い車や上級グレードにのみ設定されている場合があります。まずこのようにハンドルは少なくとも上下、車種によってはあるいはグレードによっては前後に調節できるということを覚えておきましょう。
次にシートに座ります。シートに座ったときにハンドルが一番握りやすいポジションをとるには、シートの前後と、背もたれの角度を調節する必要があります。そしてハンドルに手を伸ばし、ハンドル操作がしやすいかどうか、チェックする必要があります。
いざという時にハンドルを切る必要がありますから、それが腕が縮こまったり、逆に伸びきったりして、ハンドル操作がしにくいようであってはいけません。そこで先程のテレスコピックステアリングやチルトステアリング機能を使って上下、前後方向にハンドルを調整し、最もハンドルを操作しやすいポジションを探りましょう。
これは人それぞれの調整になりますので何ともいえませんが、1つの目安としてご自身の車のブレーキペダルやアクセルペダルの角度と、ステアリングの角度(これはチルトステアリングによって調節できます)とは、同じような角度であった方が運転はしやすいようです。
ハンドルとシートのポジションを決めたら次はミラーです。
運転席に深く腰掛け、腰がしっかりシートに支えられるようなポジションを取りましょう。そしてルームミラーを見たときに後方の視界がしっかり確保できているかどうか、ドアミラーを見たときに左右の状況が確認できるような角度になっているか、という点を注意しましょう。
このドアミラーの角度については、教科書的な「このようにしましょう」というのはあるのですが、長年ハンドルを握っていると、それぞれある程度、見やすい位置というのが出てくるかと思います。
私の場合ですが、左のドアミラーは、左の車線を走る車がわかるようにすることは前提として、その限りにおいて、角度はどちらかというと下向きに設定しています。また右のドアミラーは、上下方向の角度は普通ですが、自分の車のボディーを3分の1程度は映り込ませるような形で調節しています。
またルームミラーについては、標準のルームミラーだけでは後方視界の全てをカバーできないので、市販の平面鏡をその上に取り付けて、見える範囲を増やしています。
市販品は、より左右の範囲を映し出す局面鏡と、そのままの状況をとらえる平面鏡とあります。
私はどちらも使ったことがありますが、局面鏡ですと、真後ろの車や、後方左右の車との距離感がどうしても局面によって歪められてしまうので、今は左右の幅が広い平面鏡を使っています。
平面鏡は見たままの姿が映し出されますので、自分の運転感覚として身に付けている後方の車との距離感が一致しやすいからです。局面鏡は死角になりがちな左右斜め後方の車をとらえてくれるというメリットはあるのですが、どうしても、自分の後方の距離感と鏡に写っている車の大きさとの感覚があいにくいので、今は使っていません。
これも人それぞれかと思いますので、いろいろ試されて自分に最適なものを選ばれるというのも良いかもしれません。
視界を確保するという意味では、サイドミラーの鏡面や、リアウインドウの視界の確保もとても大切です。
車の装備で、ヒーティッドドアミラーが付いているような場合は、このスイッチを作動させますと曇っているミラーや水滴がついているミラーの水滴や曇りがとれ、クリアな視界が確保できます。
ただ、このヒーティッドドアミラーの機能が備わっていたとしても、車種によってリアの熱線(曇り止め、デフォッガーといいます)のスイッチと連動していて、リアウインドウの熱戦のスイッチを押さないと、ヒーティッドドアミラーが作動しないというタイプや、フロントのデフロスターを作動させると、ヒーティッドドアミラーが作動するタイプなど、車種によって操作方法が異なりますので確認しておくことが必要です。
車種またはグレードによって、ヒーティッドドアミラーが付いていない場合も当然あります。この場合は、市販の水滴をはじく塗布剤や曇り止めをあらかじめ塗っておきましょう。
フロントガラスの内側は、ほぼすべての車に備わっているデフロスターで曇りは取れていくのですが、湿気が多い日などは車に乗ったばかりの時は曇っていなくても、少し走り出してから、いっぺんに曇ってくる場合もあります。
こうした時はデフロスターを作動させても、視界が開けるまでに時間がかかってしまいます。一つの予防策としては、フロントガラスの内側に「クリンビュー」などの曇り止めをあらかじめ塗布しておくという手段があります。
注意としては天気の良い日にウインドウやドアを開け放して作業しないと、匂いが中に残ってしまいます。今は匂いがしないタイプも発売されているようですが、多少高めです。いずれにしても、普段から曇り止めの備えをしておくと良いかと思います。
もちろん、瞬く間に曇ってしまったときは、運転席付近に常にタオル類を置いておき、それで拭き去るのが一番早いです。運転しながらは危険ですので、最小限の部分だけ拭いて、あとはどこかに止めてから作業しましょう。
雨の時に頼るのはなんといってもワイパーです。
このワイパーも拭き残しが出てくるようになりますと、なんともその拭き残しの部分が気になってくるものです。
拭き残しが出たからといってすぐにワイパーブレードを取り替えなくても、多くの場合は小さなゴミなどをワイパーのゴムが拾ってしまって、それによって拭き残しが出るようなケースも多いです。
こうしたときは、私はまずはワイパーのゴム部分をティッシュなどで拭き取って、それでも拭き残しが出るのかどうかをチェックするようにしています。このように一旦ワイパーブレードをきれいに拭き取ってみるだけでも、結構改善が見られたりします。
ヘッドライト、ブレーキランプのカバーもクリアに
車の外回りでいうならば、雪の日などは、車の雪下ろしをするときに、必ずヘッドライトやポジショニングランプ、そしてウィンカー部分の氷や雪も取り除いておくことが必要です。寒冷地で雪が降った時などよく、よくウィンカーなどの部分には雪を残したまま運転されている方がいますが、この状態でウィンカーを出しても、ほかの車にはぼんやりとしか見えません。もちろんリアのブレーキランプについても同様です。
このように、まず車内でいうならば、
*危険を回避しやすいドライビングポジションをしっかり取る
*ミラーの位置を合わせたり、あるいは市販品などを追加することによって、運転席から確認できる視界の範囲を広くする
*ウインドウの内側などの曇らないようにする
*車の外側においてはウィンカーやブレーキランプ、ヘッドライトが他の車からも十分に見えやすいように雪や氷などを取り除く、あるいはヘッドランプのカバーが経年の劣化とともに曇ってきたら市販品で磨き上げ透明性を確保する
ーーといった安全対策が望まれます。
事故があってから「もっとこうしておけば」と後悔しても始まりません。一つの保険といいますか、おまじないみたいなもので、できる努力はすべてしておくと、自らの安全意識も高まり事故の確率は低く抑えると考えます。
本日も最後までお読みくださり、ありがとうございました。