50代からの車選びとライフスタイル研究所

このサイトでは50代以上の方を対象とし、車選びとライフスタイルについて参考になりそうな情報をお伝えしていきます。運転歴35年以上で軽自動車からワンボックスまで9台を乗り継いできました。50代、60代ともなりますと車の選び方や働き方、日々の生活も変わってきます。人生100年時代ともいわれる成熟の世代を楽しく生きるためのクルマ情報やライフスタイル情報、私の考えや思いをエッセイ的にまとめていきたいと思います。

新車購入読本2023 シニア世代の車選び~車の大きさ

 

Kenny Eliasonが撮影した写真

今日はシニア世代の車選びシリーズ3回目です。

 

このブログでは新車がでるたびに旧モデルより肥大化していくさまを嘆いていました。一方で規格が決まっている軽自動車の売れ行きはホンダのX-BOXのようにヒットする車がけん引することもあり、新車販売の4割程度を占めるまでになったといいます。

日本の道路事情は都市部をのそいて片側1車線が多く、地方ではセンターラインがない道路も通勤路、生活道路として使われていることもざらにあります。

 

プラドに乗ろうが車体の大きいアメ車に乗ろうが、運転技量が伴っていればなんの問題もありません。車幅が広く、全長が長くても、狭い通路で人間同士が巧みに体をかわして相手と接触せず進路を妨害しないように、相手の車とすれ違えられるように道路の際(きわ)まで、しっかり寄せ切れたり、狭い駐車場でも枠線内に左右均等に駐車できる技量があれば、車の大きさはさして問題ではありません。

 

しかし現実は、シニアでこうした技量がある方の割合のほうが少ないと感じます。多くの大きな車のドライバーは、自らは左端に寄せ切れず、そこそこのスペースを残して停車し、相手に「ぶつけないようにすれ違えよ」という対応になるか(この場合、相手=対向車は限られたスペースで大きな車に接触しないよう、そして左側は脱輪しないよう、自らリスクを背負って進むしかありません)、そのまま進んできて、対向車がやむを得ず、ぎりぎりまで左端に寄せて、大きな車を通してやる、のいずれかになります。

 

駐車場への止め方もしかりで、たいていは駐車枠内に斜め気味や、左右どちらかに寄って駐車されていることが多いです。

 

空間認識能力の問題

全長と車幅という車両感覚は、すなわち空間認識能力の問題かと思います。

 

丸めたティッシュをゴミ箱に投げ入れる場面で例えることがわかりやすいでしょう。

 

ゴミ箱が50センチくらいのところにあれば、まず、はずすことはないでしょう。これが1m、2mと離れていくに従い、難しくなるでしょう。

 

自分の腕や指先のコントロールですら、目や脳で認識した距離に合わせることが難しいわけですから、ステアリングやペダルのコントロールを介してコントロールを要する車は当然、難易度が増すわけです。

 

ゴルフをやられる方なら、パターを使うだけでもパットが距離に比例して、というより二乗くらいの難しさになることを実感されていると思います。

 

ダウンサイジングは選択肢

人によって個人差はあるものの、悲しいかな年齢とともに視力や反射神経、微妙なステアリング操作やペダル操作は怪しくなることは否めません。ディーラーの方と話すと、車の買い替えでダウンサイジングする方も増えてきたといいます。

 

最近の車は安全運転支援システムが充実しているので、人間の年齢による衰えをかなりカバーしてくれています。しかし、もちろん完全ではありません。これまで乗っていた車の車格や装備、ステイタスなどにこだわると、なかなかダウンサイズすることは気持ち的に難しいかと思います。

 

これはメーカー側にも責任があり、かつてはトヨタが5ナンバーでも3ナンバーの上位車種に匹敵する内装と装備をもつ「プログレ」という車を販売していましたが、現在では廃止されてしまっています。いろいろな意味で豪華な車を求めると、勢い車のサイズも大きくなっていってしまいます。既存車種もモデルチェンジのたびに肥大化し、かつての大衆車であったカローラすら3ナンバー化した現在、各メーカーとも1700mm未満のコンパクト車種は極めて限られています。

 

シニアの場合、人生100年時代というものの、「あと何年、生きられるのか」「あと何年、元気でいられるのか」「あと何年、車を運転することができるのか」--ということを考えないわけにはいかなくなります。

 

そうなると、運転できる期間が次第に短くなるなら、今のうちに悔いのないよう「いい車(人によって定義はことなるでしょうが)に乗っておきたい」という気持ちがでるのは当然です。免許返納の検討・決断に似ているものがあるかもしれません。

 

運転技術は年齢があがれば経験値は増えますが、それよりも視力や感覚の衰えといったマイナス要因も増え、これらの相殺合戦となります。そしてやがて後者が優勢になってしまい、経験値を打ち消し、相対的な運転技量は低下します。

 

残念ながら高齢者が加害者となって起こす事故のニュース映像を見ると、多くが3ナンバーの車です。運転技量に比べ、車体の大きさや性能が合っていなかったのではないかと考えます。3ナンバーの車に乗っていた方が5ナンバーのコンパクトカーや、まして軽自動車に買い替える、などということは、そして「人生であと何台の車に乗れるのか」などと考えたとき、そうそう踏み切れる選択肢ではありません。

 

しかしそれぞれが努力され、これまで築いてこられた実績や信頼、家族などとの関係は、事故の加害者になった瞬間、大きく変わってしまいます。

確かにコンパクトカーや軽自動車では内装はプラスチック感覚満載ですし、300万以上の車のような内装の豪華さは期待できません。しかしシートヒーターやステアリングヒーター、電動パーキングブレーキ、クルーズコントロール、踏み間違い抑制装置などの快適装備や安全運転支援装置などは十分、選べるレベルにあります。

 

量販店や大型スーパーの駐車場での車の出し入れや、狭い道でのすれ違いに億劫さを感じたなら、それはダウンサイジングすべきタイミングの合図です。これはどらばー本人しかわかりません。

 

スマホなどを選ぶときも、最先端や多機能で高額のものはシニア層は買わないでしょう。らくらくホンはともかく、自らが扱える範囲の機種を選択されるはずです。

 

車も同じ基準で選択されることを強くお勧めしたいと思います。

 

前席ドアの開き具合も違う

大きいクルマの場合は当然ながら、運転席ドアも大きいわけです。すると駐車場などで隣のクルマとの距離が同じ場合、ドアが大きいクルマのほうが、開く角度が狭くなり、乗降しずらくなります。また微妙な力加減ができなくなると、降りる際に、つい力が入って隣のクルマにドアパンチをくらわす可能性も出てきます。

さらにドアの開き角度が狭いと、無理に身をよじって乗り降りするため、腰をいためる恐れもでてきます。

 

小さいクルマは洗車も楽です

自分で洗車する場合、大きいクルマは表面積が広く、シャンプーする面積もワックスをかける面積も広く、なかなか大変です。さらに車高が高いクルマですと、屋根を拭きあげるのも一苦労です。

洗車機に突っ込む場合でも、拭き上げるときに表面積が広いと、やはり時間がかかります。また雪が降る地方では、屋根の雪下ろしも同じく大変です。

 

今回はハード面を中心にクルマの大きさと運転のしやすさ、メインテナンスの面からみてきました。現代のクルマはどんどんサイズアップし、5ナンバーでないと、次は1800mm近く車幅があるクルマの中から選ぶことになってしまいます。マツダ3のように1700mm台半ばくらいのクルマもあるにはあるのですが・・・。

 

そうなりますと扱いやすい、手頃なサイズのクルマは、5ナンバーか軽自動車ということになります。ぐっと選択肢は狭まりますが、5ナンバーでタイプ別にみるとワンボックスでは日産・セレナホンダ・フリード、後席スライドドアタイプのワゴンではトヨタシエンタトヨタ・ルーミー、スズキ・ソリオ、SUVではトヨタ・ライズ(兄弟車でダイハツ・ロッキー)、いわゆるコンパクトではホンダ・フィット、日産・ノート、トヨタ・ヤリスなどが挙げられます。