新車購入読本2023 シニア世代の車選び~別物になったプリウス
2010年モデルのプリウスに乗っていた身としては、このフォルムを見たとき、「これがプリウス?」と思いました。ハイブリッド車の先駆けとして登場したプリウスですが、5代目となり、かつてを知る者からは”別物”になったと感じました。
なぜかプリウスはシニア層に人気があると言います。実際に街でみかけるプリウスのドライバーは60代、70代、80代(たぶん)あたりと思われます。
車好きなシニア層はそれなりのこだわりがあるでしょうが、「車のことはよくわからない。トヨタを選んでおけば、まあ安心。その中でも燃費もいいっていうし、セールスマンも勧めるからプリウスでいいんじゃないの」という感覚で選んでしまうと、今回のプリウスはだいぶ異なります。いくつもディーラーを回ったり、カタログ見て選ぶのが面倒な場合、「前もプリウスだし、今度もプリウスでいいや」と、つい銘柄で選んでしまいがちな方へ、おせっかいと思いつつ、警鐘を鳴らしたと思います。
「23年モデルのプリウスは、別ものです」。
論より証拠をお見せします。
■2010年モデルのスペック:
(全長等)4480×1745×1490mm (室内長等) 1905×1470×1225mm
■2015年モデルのスペック:
(全長等)4540×1760×1470mm (室内長等)2110×1490×1195mm
■2023年モデルのスペック:
(全長等)4600×1780×1420mm (室内長等)1840×1500×1135mm
2010年モデルに比べ、2023年モデルは全長で120mm長くなっていますが、室内長は逆に65mm短くなっています。2015年モデルと比べると全長は60mm長くなっていますが、室内長はなんと270mmも短くなっています。全高は2010年モデル比で70mm低くなり、さらに室内高はそれを上回る90mmも低くなっています。2023年モデルは流れるようなフォルムと引き換えに、室内空間は多大な犠牲を払っています。
さらに傾斜のきついAピラーに全長、全幅の拡大もあって、前方・後方、さらにそれぞれの左右の感覚はつかみづらいかと思います。
そして何よりもシニア層には、全高が低くなったせいで、乗り降りのしにくさが増します。身をかがめて乗り込み、降りるときはさらに困難を伴います。
車体も大きくなって、車幅感覚や前後がつかみにくくなったうえ、アイポイント(視点
)が低くなり、前方の見切りも悪くなるので、よほど腕に自信のあるシニアにしかお勧めできません。「今がプリウスだから、今度もプリウス」というように車名だけで選ぶことは危険です。
ハイブリッド車は増えていますが、プリウス、アクアは初代発売以来、空気抵抗を意識したフォルムになっている関係で、室内空間や運転視界が犠牲になっている部分があると感じています。それでもアクアは5ナンバーサイズで全長も短く、取り回しがしやすいのですが、新型プリウスは過去最大サイズとなっているだけに、シニア層で「次もプリウス」と考えている方は、必ず試乗をして、右左折のしやすさ、信号機がないT字路で、狭い道から広い道出て左折する際の左右の視界(あまり試乗コースには組み込まれていませんが)、回転半径などを必ず確認しましょう。
ディーラーがある場所は、当然ですが道路がよく整備された場所にあり、試乗コースも信号機がある交差点を曲がるなど、まあ走りやすいコース設定になっています。我が家もそうですが、これば自宅周辺ともなれば、道幅が狭く、見通しもきかず、自転車や歩行者の往来もあって、気を遣うことが多くなる場合もあるでしょう。
ディーラーが家に比較的近い場所にあるのなら、自宅までは無理でも、ディーラーの近隣の道は頭に入っているでしょうから、セールスの方にお願いして、中央分離帯がないような狭い道を走らしてもらうとか、前述のように信号機がない交差点を左折することなどができれば、かなり実践的な試乗になるかと思います。
最新モデルは今後どうかわかりませんが、先代まではシニア層に人気の車ということでしたので、取り上げてみました。シニアで検討されている方、検討してみようかなとお考えの方に少しでも参考になれば幸いです。
本日も最後までお読みくださり、ありがとうございました。