50代からの車選びとライフスタイル研究所

このサイトでは50代以上の方を対象とし、車選びとライフスタイルについて参考になりそうな情報をお伝えしていきます。運転歴35年以上で軽自動車からワンボックスまで9台を乗り継いできました。50代、60代ともなりますと車の選び方や働き方、日々の生活も変わってきます。人生100年時代ともいわれる成熟の世代を楽しく生きるためのクルマ情報やライフスタイル情報、私の考えや思いをエッセイ的にまとめていきたいと思います。

<考察>年齢だけでは語れない?~75歳以上に運転技能検査導入~

明日、2022年5月13日から道路交通法が一部改正され、75歳以上の高齢者のうち、一定の条件に該当した方は、運転技能検査を受け、これに合格しないと免許更新ができなくなりました。

 

警視庁のホームページでは以下のように説明されています。

 

①運転技能検査の対象者
免許更新時、75歳以上(令和4年10月12日以降に誕生日を迎える方に適用されます。)の普通自動車対応免許を所持している方のうち、運転免許証の有効期間満了日の直前の誕生日の160日前の日前3年間に、一定の違反歴がある方が対象となります。
この検査に合格しない場合、運転免許証の更新ができません。

②運転技能検査の対象となる違反
(1)信号無視 (2)通行区分違反 (3)通行帯違反等 (4)速度超過 (5)横断等禁止違反 (6)踏切不停止等・遮断踏切立入り (7)交差点右左折方法違反等(8)交差点安全進行義務違反等 (9)横断歩行者等妨害等 (10)安全運転義務違反 (11)携帯電話使用等
の11種類となります。

③運転技能検査の内容
普通自動車でコースを運転して課題(指示速度による走行、一時停止、右折・左折、信号通過、段差乗り上げ)を実施します。
100点満点中、大型二種、中型二種又は普通二種の免許所持者は80点以上、それ以外の方は70点以上で合格となります。

 

上記②に掲げる違反がない方は運転技能検査の対象ではなく、60分の実車指導、30分の適性検査、30分の講義の計2時間の講習を受けます。

 

日々の運転で思うこと

上記③の検査内容はよくよく考えてつくられた結果なのでしょうが、日々、運転していて思うことは、これらに加えて車線維持ができるか(左右にふらつかないか)、車線変更がスムーズに行えるか、右折の場合、対向車が来る中で、どの程度の距離があれば安全に右折できるか、路地から大通りに左折で出る際、右方向から来る車(大通りに出た場合、自車の後続車となる車)と、どれほどの距離があれば、安全に左折できるか――といったような内容も盛り込んでほしかったなと思います。

 

多くの対象者を検査するとき、できるだけ効率よく行わなければならず、ほかの車をからめた検査は手間もかかるので、簡単でないことは容易に想像がつきます。しかし、日々、ハンドルを握っていて、「危ない」と思う場面は、車間距離がない中で目の前で対向車が右折(こちらからみれば自車の前を横切って左折)されるときや、大通りを走行していて、車間距離と速度差を考えたとき、そのタイミングで出てこられたら、こちらはかなり強めのブレーキを踏まなくてはならないシチュエーションで、目の前に出てこられたりするからです。

またカーブは言うに及ばず、直線部分でもレーンの中央をキープできずに、左右にふらつきながら、あるいはレーンを踏みながら、ときに踏み越えて走行されている方もいらっしゃいます。

 

アクセル、ブレーキ等が適格に操作できるか、といった観点はもちろん必要なのですが、考える力、判断力が適正な範囲にあるか、という検査も将来は検討してほしいと思います。

 

他人事で書いているわけではなく、私自身も十数年後はそういった年齢になりますし、技量はともかく、運転に必要な「考える力」や、適格な判断力が損なわれつつあるなら、そして、それを客観的につきつけられたなら、潔く免許を返上すべきときと考えます。操作はできても、判断が怪しければ、他人、他者との関係が必ず生じる以上、事故につながりかねないからです。

 

そして今回の運転技能検査は、「運転免許証の有効期間満了日の直前の誕生日の160日前の日前3年間に、一定の違反歴がある方」のみです。それ以外の方(70歳以上の方と75歳以上で無違反の方)は、従来からの実車指導にとどまります。実車指導は指導であって、極論すればどんなひどい運転であっても、免許を更新できない、ということはないのです。ただ自分の運転について第三者から「ああだこうだ」と言われる機会はないでしょうから、自らの運転を考えるよいチャンスであることは確かですが。

 

年齢だけでは語れない?

視力や反射神経、判断力など、高齢化とともに衰えていく能力があるのは確かだと思います。しかし、これも日々、観察していますと、中年、高齢者までいかない初老の方でも、なかなか危なっかしい運転をされている方が少なくはありません。

後ろからみていて、そのハンドル操作やブレーキの踏み方などから、「きっと高齢ドライバーなのだろう」と思って、2車線になって、隣を走るチャンスがあるときに、運転席をチラ見しますと、還暦あたりの私よりも、お若い方だったりします。

 

私がメインに暮らしている地方都市では、それこそ老若男女すべてがハンドルを握ります。その中で、高齢者だけが危ないかというとそういうわけでもなく、逆に高齢者であっても、そこそこの大きさのSUVを華麗なハンドルさばきで、スーパーの駐車場にバックで一発で駐車できる方もいます。20~30代の方でも何度も切り返しをして、やっと止めたと思ったら、曲がって止めている、なんていう光景もよくあります。

 

こうしたことから、統計的な事故率は確かに高齢者のほうが高いのかも知れませんが、車社会に生きる一員として観察すると、前述のように高齢者でもうまい人はいますし、若年層、中年層でも下手な方はそれなりにいて、自分優先の運転をされる方もいますので、一概に「高齢者だけが」とは言い切れないと思います。

 

ただ一つ言えるとしたら、高齢者のほうが「我慢なし」なのだと思います。

これも日々の観察から言えますが、高齢者は「待つ」ことが苦手な人の割合が高いように思います。「自分が待って、相手を先に行かせる」ということができずに、彼我の距離、速度差などを考えず、ともかく自車の前にさえ車がいなければ、突っ込んできてしまうケースに多く出くわしました。右折でも対向車にブレーキを踏ませてでも、自分が先に曲がってしまいます。視力の衰えやその影響による遠近感(距離感)がつかみにくくなっているのかも知れませんが、周囲の車にとっては「ドキッ」とします。

 

首都圏と違い、地方は車がないと本当に不自由です。地下鉄やJR、バス路線が発達していて、時刻表など気にしなくてもいいくらいの頻度で電車やバスがやってくる、などということは地方ではありません。免許は趣味でなく、生活必需品の域ですので、高齢になったからといって、そうやすやすと返納できるものではありません。きれいごとでは片づけられません。

 

しかし、そうであっても、車は凶器になる以上、返納するタイミングを間違うわけにはいきません。今日の記事は未来の自分へのメッセージも兼ねているので、自分がそのような運転をするようになってしまったのなら、事故を起こす前に免許を返納しようと思います。