50代からの車選びとライフスタイル研究所

このサイトでは50代以上の方を対象とし、車選びとライフスタイルについて参考になりそうな情報をお伝えしていきます。運転歴35年以上で軽自動車からワンボックスまで9台を乗り継いできました。50代、60代ともなりますと車の選び方や働き方、日々の生活も変わってきます。人生100年時代ともいわれる成熟の世代を楽しく生きるためのクルマ情報やライフスタイル情報、私の考えや思いをエッセイ的にまとめていきたいと思います。

車選び:メーカーのこだわり~マツダ③「人馬一体」

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今日は「人馬一体」の思想について、それがどのように車づくりに反映されているのかをみていきたいと思います。

 

マツダの思想は、人ファーストであり、そのうえで安全運転支援システムがサポートしましょう、システムは決して出過ぎた真似はしません、それでもご主人様が危うくなりしたときには、すかさず手助け申し上げます、ということになります。

マツダは、「自動運転技術がドライバーに置き換わるのではなくサポートする存在であるべきだと考えている」といいます。さらに「多くの自動車メーカーは「機械中心」の自動化に向かっているが、マツダは「人間中心」の自動運転技術Mazda Co-Pilot Conceptに基づき開発を進めている」と他社との発想の違いに言及しているのです。

 

その考え方は具体的に以下のように説明されています。

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ドライバーが正常な時は、ドライバーが能力を最大限に発揮することを助け、運転することで走る歓びをお届けする。その裏でクルマはドライバーの状態を常時検知し、クルマがいつでも運転可能な状態でスタンバイしており、万が一のミスや運転出来ないと判断した場合にはクルマがオーバーライドし、周囲を含め安全な状態を確保する。ドライバーと周囲の人にいつでも安全・安心をお届けできる。

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安全運転支援システムの中でもマツダは、ブラインドスポットモニター(ドライバーの死角になっているところからの車などを感知して知らせる仕組み)の採用率が高く、一方で標識認識システムがオプション扱いになりがちなどの部分はありますが、安全運転支援システムとしては充実しているかと思います。

それでもマツダはドライバーを最優先に考え、まずはドライバーが安全に運転できる環境を提供することにベストを尽くそう」という思想なのだということがみてとれます。その理由はこれから解説するとして、マツダを理解するキーワードに掲げた「人馬一体」が、その思想を体現しているともいえるのです。
馬は人が乗って、手綱によって馬をコントロールしますね。あくまで人が中心なのです。

マツダのサイトを見て、他社と違うところは、安全運転支援システムの記載はありますが、「こんなのが付いているんです、すごいでしょ!」といった声高な主張ではありません。
このあたりも主張の一貫性が見られて好感が持てました。人馬一体と言いつつも、馬=車が人を支配してしまうような一体は楽しくないですものね。


ドライバーにベストな環境を提供する

マツダのデジタルマガジン2020冬・マツダ創立100周年記念号で、以下のような記載があります。
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自動車産業は、予防安全(事故のリスク/被害の軽減)と衝突安全(事故発生時の傷害軽減)の両分野を大きく進歩させた。これに対しマツダのアプローチは、このような業界の標準的視点に加え、基本安全(良好な運転環境と優れた操縦安定性による安全運転のサポート)の視点も重要だと考える
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このマツダのアプローチは、Mazda Proactive Safetyという基本的考え方に集約されています。「ドライビングポジション、ペダルレイアウト、視界視認性、ヒューマン・マシン・インターフェースなど基本安全性能の継続的進化と標準化を進めている」ことで、その考え方が体現されています。
 
マツダといえば、なんといってもオルガン式アクセルペダルでしょう。これは他社にはない絶対的特徴です。
 
このオルガン式アクセルペダルは、“人間の特性に操作ユニットの特性を合わせる”という発想から生まれました。
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足の姿勢をラクに保つため、かかとは床につけることを基本と考えています。すると足首の動きは、かかとを支点とした上から下への回転運動となります。マツダでは、下に支点があるオルガン式アクセルペダルを採用し、足首とペダルの動きが一致したスムーズな操作を実現しています。
また、オルガン式アクセルペダルは長距離を走っても足が疲れにくい、という効果があります。
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さらに「なぜ足が疲れにくいのか」という点について足の筋肉の動きを具体的に解説して、その理由を解き明かしています。
 
細部から入ってしまいましたが、人馬一体を語るときに、大切なことはドラポジです。マツダは3ステップによって、理想のドラポジの実現に取り組んでいるといいます。
 
--------ステップ1-1--------------------------------------------------
“理想のドライビングポジションとは何かを規定する”ことから始めました。人間の体は、無駄な力が抜けたリラックスした状態のほうが素早く正確に動けます。さらに、そういう状態は疲れにくいことも重要です。つまり、瞬時に適切な動作ができるようサポートし、そのままの体勢でいても疲れにくい。そんなリラックスした状態を理想のドライビングポジションとし、それぞれの関節の角度を規定していきました。
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安全運転支援システムでも大切なのは状況をとらえるカメラだったり、レーダーだったりします。つまり、道路状況やほかの車や人の動きといった情報の入力に各社工夫を凝らしていますよね。
マツダ人でも同じように、目からの情報の入力を重視しています。
 
--------ステップ1-2---------------------------------------------------
理想のドライビングポジションのもうひとつの重要な要素が目線です。人間は高速道路を走る時は遠くを見つめ、市街地などを走る時は近くを見ます。速度や状況によって目線の位置は変わるのです。この遠くと近く、両方の目線を満たすエリアを“アイラインゾーン”と呼び、理想のドライビングポジションを規定する重要な要素としました。
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たとえば、ドアミラーの付け根とAピラーの間に空間を設け、視認性を高める設計を行っているといいます。
 
そして2つ目が“理想のドライビングポジションに合わせて操作ユニットを配置する”ことへのこだわりです。
CX-5以降のマツダ車は前輪のホイールハウスを前に少し移動し、人間に合わせてクルマの設計を変えて」いるそうなのです。ご存じでしたでしょうか?
--------ステップ2---------------------------------------------------
理想のドライ ビングポジションを保ちながら、自然に足を伸ばした位置にアクセルペダルとブレーキペダルを配置しています。これを実現するために、CX-5以降のマツダ車は前輪のホイールハウスを前に少し移動し、人間に合わせてクルマの設計を変えています。
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このペダル位置というのは本当に大切だと思います。もちろん、シート調整幅やハンドルの前後・奥行の調整幅が大きいことも重要なのですが、そもそものペダルの位置がしっくりこないと、ほかをどのように調整しても、足の動きに違和感を感じてしまいます。
 
それでも人間は適応力が高いので、慣れてしまうそうなのですが、いざというときの、コンマ何秒かの動作で事故になるのかならないのかが決まるときもあるでしょう。
そうしたときに、ペダルへのアクセスや力の伝わり方の差が明暗を分けかねないと思います。
 
そしてステップ3が、すでに触れました「オルガン式アクセルペダル」なのです。
 
いかがでしたでしょうか。マツダの人馬一体の根底にあるのは、まず人間の能力を最大限発揮できるように設計しよう、そのうえで安全運転支援システムがサポートし、いざとなればシステムが作動して事故を未然に防ぐ、という考え方がご理解いただけたのではないかと思います。
 
この記事を書くために、同社のサイトやデジタルマガジンを読み込むまでは、こうしたことは存じ上げませんでした。マツダの車にも乗ってみたいかも、と思うようになりました。
 
次回は、マツダのまとめをお届けする予定です。