電気自動車は200万円台になるのか?
このところ電気自動車に関する記事が新聞を賑わしている。
まず昨日の朝日新聞は、中国のインターネット検索大手・百度が、自動運転の電気自動車を製造すると発表したことを報じている。百度は自動運転技術の研究を以前から進めていたと言う。
昨年の10月から11月については無人の自動運転タクシーに、一般のお客を乗る実験を北京市内で進めた。中国のGoogleみたいなものだが、今は人工知能や自動運転で中国を代表する企業となっている。
中国は2035年に新車販売のすべてをハイブリッド車や電気自動車、プラグインハイブリット車、燃料電池車とし、ガソリンのみで走る車を販売させないようする計画だ。
日本もガソリンのみの車の販売を2030年代半ばには、新車販売のすべてをハイブリッド車や電気自動車、プラグインハイブリット車、燃料電池車とし、ガソリンのみで走る車は販売できなくしようとしている。
中国の百度だけではなく、あのアップルも2024年に電気自動車の製造に乗り出す方針とロイター通信が報じたそうだ。 ただ別の記事によると、「アップルが電気自動車に参入」といっても、日本のトヨタやホンダのように全てを自社で作るわけではなく、今、販売されているiPhoneがそうであるように、水平分業という形をとるだろうという見方が広がっている。
海外で進む電気自動車の普及
電気自動車の普及が進んでいることは確かのようだ。
今週月曜日の日経新聞の記事によると、昨年12月単月の電気自動車のシェアは、ドイツが14%、フランスが11%、イギリスが17%と、電気自動車のシェアが上昇していると言う。12月単月の、これら3つの国での新車のうち、約7台に1台が電気自動車となっている計算になる。
ヨーロッパではノルウェーが2025年に、オランダが2030年にガソリン車の販売禁止目標を設定している。これらの国では、同じく昨年12月中は電気自動車のシェアが、6割を超えたと言う。
もちろん、これだけ普及するにはいろいろな政策もあってのことだ。
例えばドイツでは新型コロナウィルス対策への経済対策として電気自動車購入補助が拡大された。最大9000ユーロ、日本円にして約1,140,000円に助成金を引き上げたと言う。
一方で課題もあるようだ。欧州自動車工業会は電気自動車の増加にインフラ設備が追いついていないと指摘する。電気自動車に乗って外出しても充電インフラの整備がそこまで追いついておらず、こうしたインフラの未整備から、不安が生じたり、充電設備があったとしても長い時間順番待ちをしなければならなかったりする可能性が否めないと言うのだ。
さて、日本はどうだろうか。
最近では昨年暮れにホンダがHonda eという電気自動車を発売した。しかし451万円という価格は、決して同じクラスの車に比べて安いとはいえない。
この最大の要因は、電気を貯めるリチウムイオン電池が高価だということだ。
これについては明るい材料がある。
パナソニックが安いリチウムイオン電池をつくる!
今日の日経新聞によると、パナソニックは12日に開かれた世界最大のデジタル技術見本市・コンシューマエレクトロニクスショウ(CES)で、コバルトを使わないリチウムイオン電池の開発に取り組むと発表したと言うのだ。
これまでのリチウムイオン電池に使われているコバルトは、希少金属で価格も高く、これが電気自動車の価格をなかなか下げられない要因になっていた。
現在5%以下のコバルト比率を数年で0に面するという。このパナソニックの電池を搭載する電気自動車大手・テスラもコバルト比率を0にすると表明している。
リチウム電池の低価格が進めば、2,000,000円台で我々庶民にも手が届く電気自動車が市場に現れるかもしれない。
現にテスラは2024年までに260万円で買える自動車を開発すると、イーロン・マスクCEOが発表した。
ただ、日本には悩ましい問題もある。
電気を作るためにどうしても火力発電に頼らなければならないと言うことだ。
火力発電によって二酸化炭素を排出してしまう。こうした電気を作る事情は国によって大きく異なる。例えばフランスでは原子力発電が圧倒的に大きい。日本は8割ほど、ドイツは6割くらいを石油や石炭の火力発電に頼る。驚きなのはノルウェー。国際エネルギー機関のデータを見ると、圧倒的に水力発電がシェアを占める。
純粋な電気自動車にしてしまうと、かえってCO2を排出してしまうのではないか、
という点にトヨタ自動車の豊田章男会長が言及しマスコミもこれを取り上げている。
体験的にいえばHV車はかなりいい!
非常に専門的な話にもなるし、どのような計算式を用いたら、CO2排出について公平な、正確な比較ができるのかということは、残念ながら素人の私には、はかりかねる。
だが、個人的な感触でものを言うならば、日本が得意とするストロングハイブリッド車こそが非常に今の日本には合っているようにも思える。
ガソリンがゼロと言うわけにはいかないけれども、今の日本の実情に一番合っているように思える。 かつて、現在販売されているひとつ前のプリウスに乗っていたことがある。エンジンは1800 CCで、これにモーターが加わる。
低速域ではモーターだけで動き、スピードが上がってくるとエンジン駆動となる。
また蓄えられている電気量が減ってくるとエンジンが始動し、発電することで充電する仕組みだ。ブレーキをかけたときも電気が蓄えられる。
当時のディーラーの方の説明によると、事実上2400 CC程度の走りが期待できるということだった。実際に街乗りでも高速でも何ら不自由を感じる事はなく、高速でのスピードも非常に伸びやかで、加速感も良く、満足度が高かった。もちろん燃費もよかった。
このプリウスは現行型ほど大きくなかったので、もし4輪駆動で(買ったのは前輪駆動、当時は4輪駆動は不要だった)、最新の安全運転支援装置がついているなら(これも日進月歩の技術革新があるので無理な話だが)、乗り換えることはなかっただろう。
国ごとの発電事情に応じて、ガソリンか電気自動車かといった二項対立の構図でみるのではなく、HVも含めて、トータルでCO2排出削減につながる道を探っていくしかないように思う。
今日は堅めのお話でした。ここまでお付き合いくださった方、本当にありがとうございました。
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